COSMOS/むぎのようこ
駆けてゆく夜を
つまさきで蹴りあげた
一秒コンマで
加速するみたいに
エスケープ
するりと脱げて
もう
わずらわしいこともなく
褪せるばかり
かしづくまえに
ほどけおちる花束
ゆるやかな加速に寝がえりをうつ
ここでは子どものような
きもち
いつもそうやってねむたい
街のはしで
うるさくないように吸う
空気はいつも正確な季節を混濁する
意識とプラグ
つないで
こころはひとり
みたいにしどけない助手席
おろしたてのヒール
かあいそうにもう縒れてる
髪を風にあそんで
みじかい夏もおわって
海のふちどり
なぞって
しけた花火と
とけた海月が照らす
潮にまぶしたゆびさきの
なめした柔さを
すくう
くちびる
意味もないのにわらったり
して
季節の裾をひくように
咲いたりもする
戻る 編 削 Point(8)