海そして残照/
白島真
海は水平線を
鋭利なナイフのように突きつけてくる
想い出は残照の別称であり
水のように浸る憂愁である
夏が去り
海岸には打ち上げ花火の残骸が
寄せ来る波間に漂っている
流離(さすらい)、このしずやかにして豊穣なる生よ
未だもてあます詩と死よ
岩礁の太古の匂いすさまじく
眠れ、眠れ
ただ、眠れ
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