「独り」という概念/あおい満月
為も、死を頂
いているから、私たちは過去に生かされてい
るのだと。喰らった死が血となり肉となる。
私から流れ出る血は、過去の誰かのものなの
だ。だからいつも私は、誰かの気配を感じて
いる。私は誰かのなしえなかった現在を生き
ている。
最近、創作に全く力が入らない。これはどういう意味なのだろうか。私は詩への依存は止めたが、この倦怠期は、ともすると何かの暗示なのではないのだろうか。新たな物語の胎動や、新たな世界観の方向性か。私はこの倦怠期をけしてマイナス方向へは捉えない。何かが生まれてくる前触れというのは、いつも静かなものだと私は思う。霧が立ちこめる湖のような、そんな世界に一人いる気がする。創作とは、本来そんな孤独のなかからはじまるのだ。「独り」という概念を、私は大切にしたい。そして、それでも「書いていく」という心を私は今一度、強く強く握りしめる。
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