どっちかっていえば悪いのは僕だった、君が慌てていってしまう前までは/竜門勇気
 

まるで私が
死ぬの待ってたみたい
バス停で3分前に
息を止めた君の抜け殻が
僕の首を締めながら喋りまくる
うんざりな騒音が雨音の合間合間
鋏の形の指をして
風景を、窓や車輪や雲の向こうを
きりとる きりとっては
僕のポケットにねじ込む

会えない方に賭けたんだ
留守番電話のメッセージじゃ
どれだけ賭けたかわからなかった
会えそうな場所に向かってみる
手紙を書いてポストに走る

まるで私が死ぬのを
どっかで見てたみたい
バスの扉が閉まる音が
君が最後の息を吐いてるみたいに思える
灰皿の缶詰に
火がついたままタバコを捨てた
しかも桃缶じゃん
風邪ひき
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