終り/◇レキ
 
窓から見える
甘やかな夕焼け 綺麗
こんなに綺麗でいいのだろうか

空の柔らかなため息で
僕は満たされてしまう

遠くの空は水色のままなのに
光を浴びてまだらに染まる桃色の雲


何事も影にされた黒さがいるけど
動けば光が添い温まる

きらめくささやかな素敵のために
人は相手から生まれた
小さな痛みを楽し気に遊んでくれる



一つでも離れる事に力み牙をむくのは
完全に失ってしまいそうで怖かったから

自分の人らしさを隠そうとするのは
存在を認められなくなるのが怖かったから

正しさが瓦解してから
否定が完全では無くなった

人の心は映ろうけれど
根こそぎ変わるわけでもないらしい

心は目の前にはもうない素敵を
留めてくれる引き出しがある


正しさで固めなくとも
正しさに服従せずとも
軽やかな情が人の無意識にはある

無意識は簡単に個人的利益のために恐ろしい姿になるけど
それは多分自分への情だ

なんて思っていると
ひょっこり生きる面白さが顔を出した

真っ黒な顔をしていた
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