いちにちの境に/竹節一二三
よるはわたしをまたず迫ってくる
気がつくとあたりはくらく
わたしは電気をつけずにふとんにくるまる
ひるとよるの境目が
きいきいと鳴くおとでめをあけると
よるが目の前に立っている
わたしは夕方に栞をはさんだつもりだったのだけれども
そうつぶやいてもよるは聞こえないふりをして
わたしの耳をふさいだ
ふさがなくても きこえないのに
ところで ひるはどこにいってしまったの
よるは答えずにわたしの耳にちりがみを詰めた
柿の木から葉が落ちる
かさりと誰かのふむおとが聞こえる
たぶんひるだ ひるがわたしを迎えに来た
からだはめまいのために起こせない
よるが目の前でひるを迎えるためのステップを踏み始める
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