夏の終わりにー小さな庭の物語??/忍野水香
 
っていた。しかも、アスパラには小さな棘があって、手で引っ張ると痛いのだ。
 他の樹や植物を圧迫し、覆い被さって苦しめていたパッションフルーツも、実はアスパラに苦しめられていたのだ。だんだん葉も枯れ始め、葉も少なくなったが、ひっそりと葉の陰に隠れていた実を発見して、嬉しくもあった。物事には、表も裏もあり、まるで人生の縮図のように思えた。
 小さな庭の、小さくて大きなドラマだ。
 視点をパッションフルーツから見るか、アーモンドから見るか、アスパラから見るかで話の観点が違ってくる。どれがいいか悪いかではない。そもそも宇宙には、いいも悪いも無く、ただ、その現象があるだけで、それを見る側が、勝手に善悪
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