独楽 ― 立原道造「逝く昼の歌」に寄せて ―/Lucy
まわり続けていれば
倒れずに
ほそい息を繋ぎ
うたうことさえできそうで
こころなくして
忙しくまわり続けていられさえすれば
支えてくれた背骨の芯も
とうに抜け落ち
まぼろしだけだと気づいても
なんとか立っていられるでしょう
私はここにこうして立っている
岬のはずれの岩の上に
荒らぶ海の歌に耳を開いて
海は波は単調などぎつい光のくりかへしだ
風も
汗ばむ頬には時に優しく
深く考え込んだり
よく思い出そうとしたりしなければ
何とかして
捨ててきた日々と
愛していたものたちを
憎もうとなんてしなければ
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