お盆休み/◇レキ
行きたい場所があると思う
過去の感情を大切にしたい
空洞になったとしても
続いてゆく所作に美しさがある
真夏でもひやりと冷たい樹皮のような
さめた しなりとした摘み心地は
暖かくないからこそ
遠くまで続いている
遠くで誰かが呼んでいる声がする
暖かさのない甘い誘惑
零れた心を大切にしたくて
僕は所作に埋没しながら
もう去った人に
頼っていいですか、と尋ねている
※
にわか雨で生まれた風
涼しくなったはずなのに
風鈴は変わらず揺れている
雲はどこから雨なのだろう
拳を固く握ってみれば
ぽたりぽたりと生き血のうたが
崩れるように笑っていたい
やわやわと欠片がほどけ落ちる調子で
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