夢幻/ヒヤシンス
思い出の公園でブランコが揺れていた。
横浜に降る霧雨は仄かに青色で。
なぜだか僕は独りぼっちで寂しくて。
今在る幸せに気付く事も無かった。
誰もいない公園で僕はブランコに揺られていた。
大人に為り切れない自分が嫌いだった。
少年から大人への境界線が分からないまま、
いつしか僕はブランコに乗らなくなった。
今、僕は揺れているのか揺らされているのかすら分からない。
僕はいつでも希望の花道を求めていたはずなのに。
道に花は無く、清らかな風に吹かれる雑草も無い。
夢も希望も無い言葉を書き連ねて、万年筆のペン先を自分の腕に突き刺すと、
朱殷に染まった液体が飛び散りもせず、じわじわと指先まで垂れてゆく。
夢幻の中でもっと早く詩という魔物に出会いたかった。
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