ミミ/由比良 倖
後ろを向かないで ミミ
あなたの遠い故郷が待っている
そこでは砂場でシグナルを送り合う
かつての街の信号機は、
青くなって唾液のように揺れている
天国があるとするなら、それは
いつも定員が一人なんだよ
だから、
だから私たちは産まれたんだ
私の居場所が伝わるといいな
そこは琥珀色で、ままごと用の
古い指輪屋さんがある
子供たちは黒い影となって並び、
大きなガラクタの、
カメロボットに見入ってる
だから ミミ
街の中に街を探して、
街を離れて、
また街に、あなたを探して
電線の上、ヘッドホンの中、
山の手の雲、それから、夜のアスファルト
ふとあな
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