川沿いのストーリー/星丘涙
 
夏の朝 川沿いを歩く
決して先を急ぐことなく
ゆっくりと歩く

忙しさを忘れ
川のせせらぎの音に癒され
水の流れを見つめる

水の不思議な心地よさ
毎朝 好んでこの道を往く

光る川面にカワセミが飛び込み
それをカメラに収める老人

夏草が川べりを覆う
釣り人が釣り糸を垂れている
アブラハヤが群れているようだ

ジョギングする人や
ママチャリを走らせるお母さん
通学の学生
皆 この川沿いの道を行く

わたしは決して先を急がない
いやあえて急がない
この川の恵みを楽しむ

この道沿いにパン屋があり
テラスで客が寛いでいる
その脇で
鳩がパンくずを啄んでいる

川の水に躰ごとつつまれ
赤子が母に抱かれて居るような
そんな気分になる

川風が心地よい

水がさらさらと音を立て
透明な形をくねらせて
すり抜けるように流れ
納涼を与えてくれる

様々な人間の営みと
思いを乗せ
川は流れる

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