黄昏時/
ヒヤシンス
黄昏時に降る蝉しぐれ。
巡る思いは故郷に焼かれ、
砕ける波には顔が現われ、
存在すらも消えてゆく。
幼子の手を引いて寺の参道をゆく。
夢かうつつか幻か。
奥手に望む海を見て、
愛する人を待っている。
黄昏時の幻影。
黄昏時の官能。
黄昏時の衝動。
未だ開かぬその目でもって、
迫りくる闇夜を凝視するのか。
心の奥底で蝉しぐれが降りやまない。
戻る
編
削
Point
(4)