SummerBlue/藤鈴呼
 

自転車を押す手が震える

怖いんじゃない
汗だと信じた粒が 赤い発疹だったから
ほんの少し 魂を 抜かれただけ
直ぐに 戻るから
ねえ 待ってて

低い声が アスファルトに乱反射して
自らの耳に戻る
手の震えは止まらない
何故 何故
留まらない

最近は誰のお葬式も出してはいないのに
目の前に鴉の群れが見えているみたい
声だけが不思議に響くのね

地に足を付ける感覚を忘れたから
今夜は ウォーターベッドで 寝てみようか
パンパンに干したシーツが熱くて
きっと 夢に 誘われは しないんだわ

ゴムに貼り付けた 間に合わせのボンド
小指を繋ぎ合わせるみたいに
カラメルの代わりにつけた マニキュア
応急処置 これで 合っているかしら

呟きが 煌めきと 交わり
ゆっくりと 進み始める

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