サヨナラ貴方/卯月とわ子
 
貴方のお気に入りだった黒いマグカップ

貴方が居なくなってから
わたし専用になったの
だけど昨日の夜
彼女が手を滑らせて割ってしまった

粉々になってしまったなら
諦めもついたかもしれないけれど
まだ少し形の残った
ヒビだらけのその姿に
嗚呼、貴方はもう居ないのだと感じてしまった

貴方のお気に入りだった黒いマグカップ

貴方の居なくなったこの家から
また貴方が一つ消えてしまった
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