吹く風に/
ヒヤシンス
吹く風に捕らわれた身は山を駆ける。
幾たびも過ぎていった時を頼りに。
先人達の漲る力に生を覚えて、
村はずれの舗道にただ立ち尽くす。
吹く風に捕らわれた身は川を渡る。
輪廻の郷愁をその胸に宿して。
海へと注ぐその水の清らかさ。
時に悪をも魅了するその桟敷。
辿り着いたは悲しみか。
辿り着いたは喜びか。
遍路の姿に涙する。
巡る足跡、露と消え、
後に残るは魂の遍歴。
身はやつれ、それでも生きる、吹く風に。
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