梅雨時のアイスコーヒーに想う/st
 
蒸し暑い梅雨時は アイスコーヒーに誘われて
そぞろ歩きで思い出の 海辺のカフェテラスへ 
  
グラスについた したたり落ちる水滴が
キラキラ光り  ささやきかける

それは遠い記憶の  忘れたはずの
愛の物語り

近づくと 新鮮な豆の香りがたちこめて
いやなにおいを 忘れさせてくれる

ときおりみえる青空に 真夏の太陽は輝き
地平線の彼方を行き交う船を ぼんやり眺めている

そうあの時も こうしてあなたを待っていた
海辺のカフェテラスで待っていた

かけがえのない愛の記憶がよみがえる

砂浜に散りばめられた 記憶の断片たちが作り上げる
蜃気楼のような世界がゆらめき  時空の扉を開く

そこには あの時のままのあなたが見えるけど 
私はいない------  私は今 老いてここにいる

涙があふれだして  
グラスについた 
したたり落ちる水滴とともに
落ちてゆく


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