未完のソルテ/ハァモニィベル
*
背を向けて一人の男が寝ている。
一言の口も利かず、黙って、
かなり前から ずつと、
長い ながい時間
心はうたっているのかも知れない
新しい悲しみを
そして
南極星の眼をひらき 孤独と晩餐を共にして、
色あせぬ唇で 音もなく核(たね)を 噛みくだく
風の死んでいる熱帶の岸辺に
流れ寄る息が よろめきながら なんと云うさびしさで
ひどく、なゝめに 強く傾むく…
葉影に、灯が一つともるたび
なにもかも そこに
見出してしまいた気に
砂丘の上に生えた美しい寂しさを
果てもなく転がしていく
椰子の殻に詰めた爆弾と伴に
驟雨のような火焔樹
のしたまで
*
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