7.5/伊藤 大樹
 
贋作の夜を、ハンマーで叩
いて割った
     砕け散った夜の
欠片の中に
いつ貯めたのか思い出せな
     い古めかしい十
円玉が数、枚
それを取ろうとして指を刺
した     見慣れた赤
い血
が流し尽くされたあと/
腐った魚のにおいのする
羊水が
胎児の私を包ん


、瞬間

わたしはわたしになろうとして
失敗してあなたになってしまっ
た、/これからはあなたがわた
しとしてわたしの好きなアボカ
ドのサラダを食べてわたしの好
きな赤いワンピースを着て仕事
をして適度に遊んでそして寝る
ときに少しだけわたしのことを
思い出してください/そしたら
わたし、あなたの胃の中で消化
されても難なくジョウブツでき
ます、
ところで     質問です、
   じょうぶつって何ですか

人間って死ねるからいいですね







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