みなつきははいいろの君/むぎのようこ
やわらいでしまった月に陽に
にらみを利かせ
君は
まぶたを邪険にして
六月の木陰をおよぐ生きもの
とほうもない
そらに皮膚をしのばせては
あまつぶそぼり、濡れ
ぬれ
いろどりを欠いては
からにうつつ
まぼろしが癒えるように
静けさにかわくしとね
と、
あわさったところから
飽和する
せんひきの
ないところで耳打ちをして
あまおとを滴らせた踵に
ひたひたみちた
あまにがい満ち干
ふるふりふるる
ふるえるままに、える
めぐまれた
みどりの縁取りに
囲われて
いとおしい不自由を
なぐさめては、ふいに
掴む手なぞる輪郭
ふるふりふるる
あまつぶの鱗
あおく白い肌のむこうで
脈打つとうめいの血液
紺碧を梳くひかり、
まちわびたゆびさきから
重ねては脱がして
せのびがほほえんだ
気がした
眩しさだけなら
まとって
えいえんはつかのま
君はさかな
六月の、雲間ぬう
ひかり
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