赤い川/服部 剛
酔い覚めの夜は
歩道橋に佇み
優しい風に身を晒(さら)す
アスファルトの白い梯子(はしご)から
仄明るい駅の入口へ
吸い込まれゆく
人々
アルコールが少々体内を
回り過ぎて
充血した瞳には
眼下の人々の流れが
血液の川に視えてくる
赤い赤い川の水面(みなも)に
金の粉等は煌いて
今宵
不思議の詩(うた)は囁かれ
あぁ、全ては万華鏡に流れゆく
人も
時も
思い出の数々も
ふぅ…
歩道橋の下を
幾台かの車が行き過ぎる
この世の夢魔から
覚める日まで
日々の風景をふらつく、僕は
一輪の純白な薔薇を
明日の窓に飾ろう
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