てのひら/祥希いつみ
小鳥たちの早口な囀りに
花と花とが重なり合って
楽しげに揺れている
陽光はやさしく遮られ
差し出すてのひらに
さやさやと白い気が降りてくる
ときめきをくれてありがとう
ひんやりとしなやかな花弁に
やさしく触れる指先を
咎めるひとはいないから
秘められていた春の歓びも
少しだけ開いてみる
胸の奥、深くまで
陽向のぬくもりを届けてくれるひと
ただそのいのちを賛美して
花を愛でるように愛せたら
ありがとう、
咲きながら色付いてゆく
それは幸せな祈り
戻る 編 削 Point(2)