浸透する静けさ(改訂)/ひだかたけし
 
静けさ
ちょこんと
夜底に
座っていた


 剥き出しの界、像なき界
 それは決して混沌ではなく
 何かを伝え何かを造形している 
 響き木霊し無限の力の生動する
 もう一つの界、響きの界
 
 像に守られ生きる人間が
 意識を広げ越え出る時
 なんの恐怖もなく
 静けさに浸透され
 生動の界に触れる

静けさ
ちょこんと
夜底に
座っていた

やがて夜明けに拡散し
もう喧騒の一日が始まっている

 




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