彼らの彼方/
シホ.N
かくも生きづらかった
彼らの声を聞く
声さえ出せなかった
彼らの文字をたどる
文字さえ綴れなかった
彼らの沈黙を察する
自我はもはや
虫の息
消えてゆくのは
超えてゆくこと
人差し指を
天に向け
のぼり龍の鼻の先
腕を広げて
地に立って
降ってくるのはヤリの雨
地と天空の
はざまに生きて
無と存在の
彼方を目指す
戻る
編
削
Point
(4)