光の中で/番田 
 
私は川べりの道をSと歩いていた
何があるというわけでもなかったが しかし 日が
差していた 昼下がり そして
あまり私は幸せだったというわけでもなく


街は 五月の 光の中 すれ違う
そして 誰もが 不安や
悩みを抱えた そんな目をして
だけど 日常の 束の間の 一時を


先週 私は草間彌生の絵を見たのだった そして
何かこの風景の中からは感じ取れない確かなものの
生み出されていた そんな 彼女の絵を
疲れた目をして私は確かに見ていた気がする


水上バスが今日も通り過ぎていく
いく場所に待つであろう世界へ
あれから少し私は色々なことを知りすぎたけれど
何もできないまま生きてきた

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