フィッシュボーン/藤鈴呼
 
空に気付ける時刻には
もう 布団の中 そんな日々

若布に昆布 そして海苔
磯の香りの象徴たちが 出迎える
この先は海
何となく 鼻先をかすめる空気感
気付けるか どうか
いつも同じ香りの中じゃあ 分からない
あの人の 強い匂ひ玉と おんなじ理論

足の速さにも 色々あって
逃げ足にばかり 定評があった友人達とは
縁を切った
切られたのか 苦い縁を 着られたものか
暫くは 思案したけれど
大丈夫 そんな慰めばかりが
我が心を 支配した風

腐りやすさにも 色々あって
サバ ブリ ゲンギョ ホッケも然り
この地を踏むまで知らなかった幻の魚は
ベランダで干す
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