あるいは鉄や果物かもしれないもののこと/はるな
 

むすめのひざや足の裏はしっかり厚くなった。ひとり掛けのソファにすわってテレビをみているところなど、すっかり人間ふうだ。わたしは鏡をみるのがきらいになって(太ったまましばらく戻らないから)、自分の顔がどんなふうだかよくわからなくなってしまった。
ひなげしも薔薇も咲いた。マンションの壁の格子に茉莉花がからみついて咲いている。前年の枯れた蔓をそのままに、その上にかさなるようにしてにぶい緑色を這わせながら。そろそろまた季節が変わる。

正しさを求めながら歩くのは苦しいが、苦しみながら歩くのは正しいのか。無価値の美しさを尊びながら、なにかを求めるのは正しくないのじゃないか。
むすめが歩くとき、そ
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