俳句書いたンゴ/山犬切
 
第三次世界大戦まで昼寝
レシートの丸まる音を聞いて冬
僕の血を飲んだ蚊が飛ぶ僕を置き
死にそうな夏に撃たれる水鉄砲
茨城で bmw ぶっ壊れ
働けという声がして夏が死ぬ
無駄骨を折って肉断つ余意の夜
アキレスも兎も死に絶え亀が居る
味噌汁の豆腐も孤濁で硬くなる
数の子の数を数える双子哉
腕時計と壁時計とでずれがある
墓昇る蟻居て思う死は死なず
飛び散った拉麺の汁が本に付く
老人を梱包していくバスの群
去年今年の夏がオーバーラップする
水たまりの虹踏み砕く黒い靴
花火待つ人々の首長くなる
夕立が町全体を裁いてる
爆音で囁きながら散る桜
心臓を抜かれ輝く夜の孔
人一人と書くのに人が二つ要る
ドアのない窓だけの部屋がつまり自我
右大臣実朝悼む源氏蛍
起きて凸眠れば凹の枕かな
日の丸の余白に幾人もの血痕
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