子どもの澄んでる、のぞいてる/田中修子
応接間のおおきなガラス窓が雨ににじむ
雨ごしの庭って
おとうさんの画集にあった
モネのすいれんみたいできれい
ドガのおどりこはなんだかこわい
おかあさんは砂糖は骨がとけるという
おばあちゃんのこっそり食べさしてくれる
アイスキャンデー
ざらめのついたおせんべい
広いいえ、ふたりぼっちのごちそう
(お母さんのふといお骨)
(おばあちゃんの崩れ落ちたお骨)
(わたしのお骨はぐずぐずとけて、はしわたしのときみんなこまる)
おにいちゃんはおべんきょうでいそがしい
東大に入ってもさみしそう
金のハムスターもまっかな金魚も
うちにきたらすぐ死ぬ
子どもがショックを
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