歩みと走り/鷲田
初めはゆっくりとした歩みから始まる
始まりの合図はリズムに乗った音楽の音色だ
一歩一歩歩いて行くと両足の速度は加速される
心は舞い上がり始め
今日の喜びの時間に期待する
100M、200M、300Mと進む
脳内がその速度に快感を得始める
思考が忘却する
思いついた出来事は深まることなく
紙芝居のように次々とめくられていく
ポジティブさとは思いつめない気軽な心である
1KM歩くと公園に着く
ここからは体を激しく動かす舞台だ
歩みは走りに変わり
体は揺れ始める
体が熱くなる
呼吸が荒くなる
忘却は更に忘却する
この走りにのみ全瞬間が存在する
その瞬間は
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