帰る(五月雨降られ)4/AB(なかほど)
川になる
ゆっくり歩けばよかったんだ
たんぼに水をはり
やがて田植えがはじまり
その水面をわたる風のように
なにげなくやさしく
そばにいればよかったんだ
こいのぼりが泳ぐ空から聞こえてくる声に
うつむいてしまうと
雨のにおいがしてきて
江田、住吉、伊勢とまわって
砂浜に腰をおろし
おれそうな枝でもう帰るよと
書いたその後にひとつだけ
君の花が咲いた
もう帰るよ
それは君の町ではないのだろうけど
もう帰るよ
どこへ帰れるのかもわからないけれど
もう少しで降ってきそうだから
帰るよ
もう降らないのかもしれない
もう降っているのかもしれない
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