泣く鬼/田中修子
たましいが
夜に錆びたぶらんこのように鳴っている
どこへいったの ねぇ わたしの半身たち
あざの浮かんだ あなた
詩を書くのがじょうずだった あなた
半身がふたり 抜け落ちた わたし
ほんとうはもう がらんどう
生きることは地獄 とても浮かれた
白い病室のうえ 青い空に浮かぶ雲
お釈迦さまが蜘蛛をたらすの わたし みていた
痩せこけて目と腹の飛び出たかわいそうななかま
糸切れてペシャンコになった
したでわたしもグッチャリつぶれ それでも死なないイタイイタイバァ
あくほうの片目でみつめる 雲の向こう お釈迦さまのお顔
唇のはしがヒクついてらした
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