悲しい頁/
千波 一也
あたらしいのに懐かしい
うららかな春のもと、
わたしに添う目と
わたしに添う声
なつかしいのに新しい
穏やかな春のなか、
わたしを迎う目と
わたしを迎う声
めまぐるしく、時にながされて
いつかわたしは
思い出すのだろう
なんの変哲もない、ただただ幸福な
この春の日を
やさしさの日を
それは果たして
こそばゆい頁になろうか
にぎやかな頁になろうか
或いは
悲しい頁になろうか、と
わたしは寒さを
ひとり、怯える
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