ひだり肩越しに見る夜/即興ゴルコンダ(仮)投稿/こうだたけみ
 
ひだり肩越しに見る夜みかづきが
なくってもあったかいな背中

きみのひだり肩に顎を乗せて日がな一日過ごす、
感じをひらいてはもとにもどすあそび、むすんで
ひらいて、くりかえす、くつがえす、返すがえす
の波打際の、速さに追いつこうとしては、全速力
の物言いの、似合わないままに低い声が喉をふる
わす、ここはのんど、ここはかいな、じゃあ足は
なんていうの、わからない、から音の数を合わせ
る、あしうでのど、ひびきよりわずかばかり優先
されるリズム、おまけのおまけのきしゃポッポ、
ポーッとなったらおきましょうポッポー、寝汚い
私に母が歌ってくれた歌を自分ひとりのために、
食後にコーヒーを淹れるのは私の役目だった、皿
が並び空になる傍から洗われてゆくのを見ている
だけのまかせっきりで、切った爪が三日月になる
散りぢりに飛ぶ。きみは。背中あったかいなって
言った。ただそれだけ。

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