雪原の記憶/山人
 
 私は警察署に来ていた。
あれだけ面倒くさい手続きやら、身辺調査やらをクリアし、ようやく手に入れた銃と所持許可であったが、止める時はなんの造作もないものだ。
書類手続きに慣れていない新任の警察官は、書き方がわからないらしく、たびたび席を外していた。
すでに分解された銃の一つを手に持ち、銃身に唇を当てた。冷たい感触と浸み込んだ火薬のにおいがした。

 
初雪が降り、融けたり消えたりを何度か繰り返し、根雪となる。
あたりの雑木は雪に覆いつくされ、山々の起伏がはっきりとしてくる。
深夜に雪が降り止み、朝方にはウサギの活動痕が目立つ頃である。
ウサギは夜行性で、夜に活動する。夜、食餌のた
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