へび坂/田中修子
 
その坂は四季をつうじてみどりにうねっている。
脇のブロックには苔や羊歯がびっしりとはえていて、上にはつねに葉がそよいでいる。
春夏にはきみどりが目にしみて鳥がさえずり、通る風はすっきり澄みきっている。秋冬には黄や赤がてんてんとまざって落ち葉のカサコソという音が耳をくすぐり、命が地にかえっていく匂いがする。
坂は短い距離ながら、入り口から出口をみとおすことができないほど曲がっていて、子どものへびがうねうねとからだをよじらせているようだ。
私は、このへび坂にうまれた。すこやかだった頃の祖母に手を引かれ、よろめくように歩んでいる、幼稚園児の私。
 
祖母は銀色と灰色が似合って、いつもれんげの
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