夜桜/鷲田
色と白色の中間のような彩りをしていた。
桜の花を月光が照らしていたなら、
より趣があったことであろうが、
生活がひしめく都会の雑踏で
そのような景色を期待することは、
寧ろ都会人の過剰さであるような感覚に襲われ反省した。
都会は一つの自然なのだろうか。
ビルや住居の形は生い茂る山林や遠くへと連なる山脈に成り得るだろうか。
コンビニエンスストアで
ウィスキーと
氷と
ノンアルコールビールを買ってとぼとぼと家路へと歩むアスファルトの上に、
あの公園の地面に舞い降りる筈の
一片の桜の花がヒラリと無言で横たわっていた。
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