セパレータ/紅月
いつも日没は反覆だった
ごみ箱に弁当の中身を捨てる
箱の中
散らばった白飯が造花のように咲き
今朝解凍された惣菜がぽろぽろと転がる
(それだけしかないから)
誰にも見つからないようにすっと
西日の差す教室を後にした
あかるい放課後
校庭でふざけあう子供たちのなかに
ひとつだけ人形が混じっていた
鐘が鳴っても帰る場所がわからないの
と 口を固く閉じたまま彼女は言う
あざやかな喧騒が足元を浸し
グラウンドはひどくぬかるんでいたけれど
傍聴席に座っている神様には
あまり影響はなかった
車窓から眺める風景
乱立するビル群
そのあいだからかす
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