道を行く日/番田 
 
波によって作られた影のようなものだけがそこに
子供の手を引いた人 そして
オークションで落札したコートを
私は着て歩く 他の誰に見せるというわけでもなく 


老人の目をして 行く宛をなくしたような 
私は ただ 感じたかった 空や 街の空気を 
私の行く通り 見知らぬ人の そこにいる
しかし 川面にはいない 魚は 何も


私はといえば目的地のない道を歩いている
人間で しかし たった 一人の
人間ではない青い花の咲いているのを見つけた
川で そして いつもの何もない日常の中で


街は音の何もない世界
まだ 風は 冷たかった 
私は そして 歩いた ぼんやりといつもの道を
静かな道を 人気のない 自分自身の世界へと

戻る   Point(2)