猫屋敷/春日線香
 
なという程度で
まだまったくの妖怪屋敷には違いない
仕方なく他所で暮らそうかと考えてみるが
日々の苦労など考えて取りやめ
えい、
と大猫の躯の中に飛び込んでいく
と、これが非常に快適な住まいである
うすぼやけた空間は暑くも寒くもなく
少し生臭いのを除けばまことに便利なもの
腹が空けばそのあたりの肉塊(おそらく臓器?)から
少量を切り分けて口にすればいいし
一日ほど経てばそれらは再生している
肉のような果実のようなやや塩気のある芳醇な味わい
時折内側から撫でてやれば大猫も目を細めて喜ぶ
最初の一歩を踏み出すことが大事とは
人間関係と同じであるなあと思いつつ
これからも猫屋敷との猫関係を続けていく次第
最近尻尾も生えてきた
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