春分/祥希いつみ
 

桃色の花が青い空に映えて
その名前を知っているように思う
思いながら、足早に通り過ぎる朝

ドミノのように倒れながら
日々は、わたしの心を置いてきぼり

立ち止まったら迷子になるから
見失わないように
時にしがみついているの


誰かに愛されたりしたら、
誰かに求められたりしたら、
全てを投げ出してしまいそう


そんな未来は来ないってこと
わかっているから、ほっと安堵したりして

淡い温もりを孕む風のなか
無造作に髪を括って、空を見る


心が求めているひとのこと
誰に話すこともない未来

歩みをどこで終えたとしても
ただ、同じ時を生きたというだけの
二人であり続ける





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