父の背中(挨拶付)/宣井龍人
父の背中
53年の背中
もう隙間がないくらい
父の背中
背番号53の背中
数字がぎっしり埋まっている
その背中を擦ると
数字がぎしぎし唸り出す
私が石鹸で流せるのは
たった一日の疲れだけ
母が魔法使いを生んだなら
若返らすことが出来たでしょう
長かったはずの53年
貴方はやり直すのが相応しい
精一杯背中を擦ると
数字が上機嫌に話し出す
教えてください物語を
父の背中
53年の背中
もう重くなった背中に
また数字を加える
お久しぶりです。
如何お過ごしですか?
拙い詩ですけど、私の心情が素直に書かれています。
そういえば、こんな話はとうとうお互いしませんでしたね。
もう、この時の貴方の歳をとっくに越しましたよ、お父さん。
それでは、また、お元気で!
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