エリカの缶/もっぷ
 
ない、けれども灯台のようでもありました。

 さて今日は十二月の十九日、あと二日もすれば冬至です。エリカの顔の骨格は眉間にしわの寄らないたちでしたけれど、たとえるならばまさにしわを寄せる思いで二十一日を待っている九つの少女は、この日がとてもよく晴れ渡っているというのに、気持ちよく目覚めたはずの朝から徐々に時が過ぎていくにつれて心が疲れてきました、と、自分でもよくわからない弱気をどこかへ向かって隠せずに、もしかしたらあたしは手遅れの病気にかかってしまうかもしれません、そこまで決めつけて、とうとう、アネモネを抱きしめるとお布団にもどってしまいました。明るい日差しが残念そうにまったく無駄に、今日のこ
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