エリカの缶/もっぷ
 
はそのことがわかっていました。理由などはなくただ、何の迷いもなくそのようにわかったのです。

 眠れない夜には、普段抱きしめて一緒にお布団にもぐるアネモネという名のキリンのぬいぐるみをいったん手放してから例の、元クッキー缶を取りに机まで行き、また引き返して、アネモネと一緒にカードの缶を眺めました。身近に置くようになってその缶のロゴが、暗がりのなかで仄かにひかりを放つことを知りました。ロゴはエリカには読めない言葉で書いてあり、さらに繊細にデザインされてありましたからいよいよ不明なわけです、けれどこれは海と関係がある、そこまでをエリカは推理していました。缶に入っていたクッキーがみな、貝殻のかたちを
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