エリカの缶/もっぷ
 
いうのが有名です。かつて灯台を守るために通っていた灯台守がその花言葉を知っていました。繊細なロマンティストのまだ若い青年でした。彼は灯台を守りながらまた、エリカをも、守っていたのです。そして街にもどれば待っていてくれる自分の恋人の誕生日と同じ日に、恋人の好きだというミモザの花を、このちいさな島のためにも花屋で贈り物用に整えてもらい、花の名前「エリカ」を女性の名前のようにして、なんとなくカードも添えて、ミモザは自らの手で灯台のなかに飾りつけたうえで仕事を終えると帰っていく、いつしか若くもなくなり後継者もなく、けれどもこの仕事を続けているあいだはミモザの花束を欠かすことも決してないままに、老人は島の最
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