ぼくの名前/中山 マキ
 








大勢の人の中にいればいるほど
不出来な部分に痛みが走るけれど
結局は弱音を吐けない
無作為に弱みを見せる意味も見えない

あなたと出会った頃のぼくは
お出かけ用の仮面を被るのが得意で
笑顔と笑顔の交差で
傷をつけるだけの約束や偽りなんかを
捨てるだけ捨てて
ただの腐りかけた何かだったんだろう

きっと臭かったと思うぼくの身体に触れて
あなたは迷うことなくぼくの手を掴んで
こっちへおいでをしてくれた
どうしてかな
理由はまだ怖くて聞けないけれど
だけどね、ありがとうありがとう

忘れた名前を教えてくれたのは
忘れたぼくの名前の存在を教えてくれたのは
間違いなくあなただから
良ければ全部受け取って欲しい
ぼくの名前も全てあなたのものにして欲しい




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