赤と青と白のぐるぐる/田中修子
 
あなたのお城
まるでおとぎ話

とうちゃんはどぶ板通りのかんばんや
かあちゃんはモモエちゃんも結ったパーマやさん
赤と青と白のぐるぐる
さび付いて止まっている

懐かしさに沁みて泣き腫らした目

目を離すといてついた海へ
泳ごうとする女の人
そのひとが太ももに刺した
青い絵のしたがき

骨壺に眠る
犬のハチの骨
逝ったものたちのあしおとが
ひたひた城に満ちていた
あまい牛乳みたいだった

城を壊しときはめぐりはじめた
めざめたわたしはあなたを
置き去りにした

わたしが眠っていたあたりに
あなたが眠ろうとしている

紅梅が散る、晴れわたる空、燃え枯れたあなた

赤と青と白のぐるぐる
なつかしさで溶こう
やさしいあさやけのいろ
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