夜の石/
為平 澪
夜、池に石を投げた人がいて
石に私の名前が書いてあったと噂した
池に波紋が広がって
石を投げたのは私だと
池は被害者面して 波風立てた
(名前が書いてあるそうじゃないか
(お前の名前のようにきっと汚い字なんだろう
池に呑み込まれた 証拠品
私の意志だという 物品
私はいきなり池に沈められ
口がきけなくなった
夜、池は口を開いて
私を沈めた、と
石を投げた人に報告すると
投げた人は 静かに嗤った
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