きのこの刺繍/初谷むい
 
る彼氏(僕ではない)のペニスを絞めたり、自分でもよくわからない恐ろしいことをしでかしていて、それが自分でこわかったのが、きのこの刺繍食に変えざるを得なくなってからどうにも衝動は収まり、ずっと白くて柔らかい変形する、暖かい蛇の腹のような空間を転がっているような安心感だそうだ。僕はそんなさだめのために刺繍をする。綺麗な糸をたくさん持っている。たまにマーマレードを舐めながら、夜を刺繍で満たして行く。マーマレードが刺繍に落ちたらさだめは死ぬから、僕は最善の注意を払う。もしさだめが浮気をしたら、僕は布にマーマレードを染み込ませようと思っている。さだめは僕のことがとても好きで、だから僕とは居たくないという。こ
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