二月の空に/Lucy
 
えてしまったのでもなく
手に触れたとたん
それが長い間追い求め
待ち焦がれていたものではないと気付いてしまうのでもなく
いらなくなってしまったのだ
欲しいという
願望だけが
ただ消えたのだと解る時

私はアスファルトの路面の下に
辛抱強く根を伸ばす
頑丈な針葉樹ではなく
浅い土ごとひき剥がされ
夏の嵐に倒れる時を待つだけの
空を求め風に恋して
背伸びし過ぎたポプラの木

求めたものはそこにはない
私の胸の中にも春にもそれは無い
まるで拒絶のように透明な
果てない蒼い空の慈愛が
私を貫き
吹き抜けていく



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